大阪地方裁判所 昭和27年(行モ)7号 決定 1952年8月01日
申立人
勝本勝忠
右訴訟代理人
藤井哲三
被申立人
大阪国税局長
右当事者間の昭和二十七年(行モ)第七号公売処分停止命令申請事件につき当裁判所は被申立人の意見をきいた上、本件公売処分の執行によつて生ずべき損害は結局金銭的に回復し得るもので償い難い損害を生ずるものとは認めがたいから訴訟費用の負担につき民訴第八十九条を適用し次のとおり決定する。
主文
本件申立を却下する。
訴訟費用は申立人の負担とする。
(裁判長裁判官 浜本一夫 裁判官 鈴木敏夫 裁判官 嘉根博正)
(参考)
公売処分停止命令の申立
大阪府豊能郡箕面町大字桜三百七十六番地
申請人 勝本勝忠
大阪市北区若松町四十二番地
右代理人弁護士 藤井哲三
大阪市東区杉山町一番地
被申請人 大阪国税局長
申請の趣旨
別紙表示の物件につき昭和二十五年十月二十四日大阪法務局受附第一五一七六号権利者大蔵省なる差押登記に基く公売処分は御庁昭和二十六年(行)第十六号事件の本案判決確定に至る迄これを停止する。
との御決定を求める。
申請の理由
一 被申請人は訴外三興工業株式会社に対する滞納処分のため登記簿上同訴外会社の名義に係る別紙表示の物件につき昭和二十五年十月二十五日大阪法務局受付第一五一七六号差押登記手続をなした。
二 然し乍ら申請人が実体法上別紙表示の物件の所有者であるので昭和二十六年五月九日御庁に対し前項差押処分の取消の訴を提起し昭和二十六年(行)第十六号事件として目下係争中である。
そして本件は既に準備手続を終り口頭弁論に入り後幾ばくもなく結末を告げるものである。
三 然るに被申請人は突如昭和二十七年七月二十七日附産業経済新聞紙上にて別紙物件を公売に附する旨公告をなした。併し右差押後相当日月を経過し目前に本案判決を控えた現在急に公売処分を執行する必要毫もなく、且申請人に於て勝訴の判決を得んか申請人としては、立地条件、建築に要する日月等金銭で回復し得ない損害を蒙ることは必定である。依つて本申立に及んだ次第である。
疏明方法
一 疏第一号証 公売公告
附属書類
一 委任状 一通
昭和二十七年七月二十九日
右申請代理人
藤井哲三<印>
大阪地方裁判所 御中